相手から見た自身のイメージを大きく決定する心理効果に「初頭効果」というものがあります。初頭効果はビジネスの様々な状況でも当てはまり、これを活用して顧客からのイメージを向上させることが可能です。
今回は、初頭効果についての基本や関連が深い心理効果、ビジネスで活かす方法を紹介します。
目次
初頭効果とは、最初の情報が後の印象に強い影響を与える心理効果のこと
初頭効果とは、最初に与えられた情報が、後の情報を受け取る際に大きく影響を及ぼす心理効果のことです。初頭効果の代表例として、第一印象がその人の印象を決定づけるということが挙げられます。初頭効果はモノに対しても働き、初めて食べたときに苦手と感じた食べ物はその後もずっと苦手な傾向がある、商品のデザインが気に入ったら機能などの別の側面に対する評価も良いと感じやすい、といった効果が起こります。
初頭効果を検証したソロモン・アッシュの実験
初頭効果は、ポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュ氏が、印象形成の実験によって1946年に発見しました。当実験では、人物の性格を表す言葉を複数用意し、人物AとBの性格として全く同じ言葉を、順序を入れ替え並べて、それぞれの印象を聞くというものです。
例えば、Aには「明るい・素直・頼もしい・短期・嫉妬深い」、Bには「嫉妬深い・短期・頼もしい・素直・明るい」のように、全て同じ言葉ですが順序だけを変えた言葉の組み合わせを与えます。このとき、Aに対しては「明るい・素直・頼もしい」から連想されるポジティブな印象を持ち、Bに対しては「嫉妬深い・短期」から連想されるネガティブな印象を持ちやすくなるという結果が出ました。この結果から、最初に与えられる情報が後の印象にも影響を与えるという初頭効果が提唱されたのです。
初頭効果と関連が深い心理効果
親近効果
親近効果とは、最後に与えられた情報が印象に強い影響を及ぼす心理効果で、初頭効果とは対照的な挙動を示します。一見逆の心理効果と言えますが、初頭効果は長期的な印象に影響を及ぼし、親近効果は短期的な印象に影響を与えやすいという特徴の違いがあります。
両者の効果を最大限に活用するには、例えば最も伝えたいメッセージを最初と最後に持ってくると、それが印象深く相手のイメージに残るという効果が期待できます。
ハロー効果
ハロー効果とは、ある目立った特徴によって印象が大きく左右される心理効果のことです。例えば、人の印象を決める際に経歴や肩書きが先入観を作ってしまうことや、口コミで店舗のイメージを決めてしまうことなどが挙げられます。
初頭効果とハロー効果は似ていますが、ハロー効果は最初の情報に限らず、最も目立つ情報が印象を決める点で異なります。最初のメッセージに、関わっている著名人の名前や、受賞歴など目立つ経歴を提示することでより効果的に印象付けられます。
ハロー効果の詳細については、以下の記事をご参照ください。
確証バイアス
確証バイアスとは、自身が持つ先入観や仮説が正しいものと思いたいがために、他の情報を排除しようとする心理効果です。最初の情報が強く印象に残る初頭効果は、確証バイアスによって最初に持ったイメージが正しいものであると他の情報を受け取ろうとしないことも作用しています。
確証バイアスの詳細については、以下の記事をご参照ください。
初頭効果をビジネスで活かす方法
キャッチコピーを工夫する
キャッチコピーは広告を見る際に最初に目に入りやすく、初頭効果を引き起こしやすい部分です。キャッチコピーに商品やサービスの特徴を表現し、さらに印象深いフレーズにすることで見た人の記憶に残りやすくなります。
商品やサービスの良い印象を付けるためにも、キャッチコピーは独創性あるものに工夫しましょう。
デザイン性にこだわる
商品やWebサイト、広告などを開発する際、デザイン性にこだわることで初頭効果の恩恵を受けられます。デザインに対して好印象を抱けば、その後の顧客経験が初頭効果の影響を受け良いイメージとして記憶に定着しやすくなります。ターゲットの心を掴むデザインにこだわりましょう。
営業・採用活動での第一印象に注意を払う
営業活動や採用活動では、顧客、就活生に好印象を持ってもらうことが重要です。身だしなみはもちろん、誠実な対応を最初から心がけ、初頭効果を起こして良い印象を付け、相手に選んでもらえるような信頼関係を構築しましょう。
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