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マーケティングの基本、顧客セグメントとは?作り方や例を解説
「顧客セグメント」や「セグメンテーション」という用語をご存知ですか?
顧客セグメントやセグメンテーションは、マーケティングの基礎となる重要な考え方です。
今回は顧客セグメントの基本的な考え方や作り方を解説します。
目次
顧客セグメントとは属性ごとに分けられた顧客グループである
顧客セグメントとは、年齢や性別、住んでいる地域、行動の傾向などで分けられた顧客グループを示します。
また、顧客セグメントに対象を分類することをセグメンテーションと言います。
セグメンテーションが普及した背景として、人々の価値観が多様化し、マスマーケティングの効果が出にくくなったことが挙げられます。
そこで、近年では消費者を顧客セグメントに分け、狙いたい顧客セグメントに対して的確にマーケティングを行うことが効率的とされます。
作成する顧客セグメントはマーケティングに大きな影響を与える
マーケティング戦略を考える際に使用される分析手法にSTP分析という手法があります。
STP分析とは、
- セグメンテーション:対象となる市場や消費者、顧客をグループに分け、細分化する
- ターゲティング:どの顧客グループに向けて、どのような製品を提供するのかを決定する
- ポジショニング:価格帯やコンセプトなどを通じて、自社の市場内での立ち位置を決定する。
の3つの段階からなり、その中でもセグメンテーションはターゲティングを考えるための基礎になるため、慎重に行う必要があります。
STP分析について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
顧客セグメントを作るときに使用する指標やポイント
セグメンテーションに使われる4つの指標
顧客セグメントを作成するために以下の4つの指標が使われます。
- 人口統計学的属性:年齢、性別、職業、家族構成などの属性
- 心理学的属性:趣味嗜好、ライフスタイル、性格、価値観などの属性
- 地理的属性:住んでいる地域や気候などの属性
- 行動属性:過去の購入履歴や行動履歴、総購入金額などの属性
例えば、スポーツ用品を販売するにあたって、「40代の男性で都市部に住み、健康に気を使っていて、過去にスポーツ用品を購入している人」を顧客セグメントの1つとすることができます。
顧客セグメントを作成する時のポイント4つ
作成された顧客セグメントが適切でない場合、マーケティング全体が失敗してしまう可能性があります。
顧客セグメントが大きすぎると、目立たない製品になりがちで、ファンを獲得しにくくなります。
一方で、顧客セグメントが狭すぎた場合、十分な売上を見込めません。
そのため、以下のようなポイントに気をつけてセグメントを作成する必要があります。
- 十分な売上を獲得できるか:顧客セグメントの大きさを考慮し、十分な売上を得られるか?
- 適切な価値提案を行えるか:自社製品が顧客セグメントのニーズを満たすことができるか?
- 顧客の反応を測定できるか:製品やキャンペーンの効果を測定できるか?
- 競合の状況・シェアを獲得できる可能性:どのような競合製品・競合企業があるか?そこに勝てるか?
顧客セグメントの具体的な作り方
消費者全体を顧客セグメントに分ける
顧客セグメントの作成手法の1つに、市場にいる消費者全員を対象にセグメンテーションを行う手法があります。
1つの事例として、新しい自動車のマーケティングを考える際には、行動属性に関して下の図のような顧客セグメントが考えられます。
既存顧客をセグメントに分ける
セグメンテーションは既存顧客を分類するためにも用いられます。
各顧客セグメントに対して施策を実施することで長期的な顧客の購入金額(LTV)を上げることが主な目的です。
例えば、直近の購入時期、購入頻度、購入金額に基づく既存顧客のRFM分析が用いられます。
また、より効率的にこれらの要素を活用するために顧客管理(CRM)システムなどを活用することが効果的です。
CRMやLTV、RFMについては以下の記事を参考にして下さい。
例えば、性別や過去の購入履歴、購入時期などの属性に応じて、各顧客セグメントに異なる内容のメルマガを送信することで、より効果的なプロモーションを行うことができます。
顧客セグメントおよびターゲティングの具体例
顧客セグメントの作成の具体例を考えるため、以下のケースを仮定します。
自社商品のアルコール飲料の売上が減少している。 そこで、顧客を属性によって分類し、その原因の解明・対策を行う。 |
顧客セグメントを作成する上で、考えられる属性には
人口統計学的属性 | 年齢、性別、同居家族 |
---|---|
心理学的属性 | 趣味嗜好、生活スタイル |
地理的属性 | 都市部、地方などの住んでいる場所 |
行動属性 | 購入頻度、購入商品の特徴 |
などが挙げられます。
以上の属性を踏まえると、
などのような顧客セグメントを作成することができます。
例えば、左上の顧客セグメントの売上が低下していた場合、アンケートなどを通じてよりターゲットの実態に沿った商品を導入したり、ニーズを満たせるように既存商品をリニューアルすることなどの対策をとることができます。
この際、作成するセグメントの大きさに注意しましょう。大きすぎても競争が激しく、効果の計測も困難です。逆に反対に小さすぎると、十分な売上の改善が見込めません。
商品市場のセグメンテーションの具体例
顧客ではなく、商品市場に対してセグメンテーションを行うことが効果的な場合もあります。
ここでは、新しいお菓子の企画を行うことを事例として考えます。
1つの手法として、以下のように市場を分類し、「全世代が自宅で間食時にで食べるお菓子」のようにターゲティングを行う方法があります。
これ以外にも、「健康志向」のような趣味嗜好や「安くて量が多いものを好む」などの顧客の行動条件などを加えることができます。
いかがでしょうか?
今回は基本的な考え方や顧客セグメントの重要さを解説しました。
顧客セグメントの作成はSTP分析の初歩となる重要なプロセスです。
この記事を参考に適切な顧客セグメントを作成することを心がけましょう。