この記事は 3 分で読めます
内発的動機づけとは?メリット・デメリットや行なう方法を解説
内発的動機づけという言葉をご存知ですか。これは、行動の促進や維持に関する心理学の用語で、ビジネスでも活用することができます。
この記事では、内発的動機づけのメリット・デメリットや、行なう方法を解説します。
内発的動機づけとは、好奇心や関心などをもとに自発的に行動しようとすること
動機づけ(motivation)とは、目標などの要因によって行動を起こし、それを維持する過程・機能を指す心理学の用語です。動機づけの一種として、内発的動機づけや外発的動機づけなどがあります。内発的動機づけとは、好奇心や興味関心、やりがいといった内的な欲求をもとに自発的にやりたいと考えることです。
内発的動機づけの例として、「達成感が得られるから」という理由で筋力トレーニングを続けることが挙げられます。この場合は、自身の内的な欲求から行動を起こしています。一方、「他人から賞賛されたいから」という理由で筋力トレーニングを行なっている場合には、外発的動機づけがなされています。
外発的動機づけとは、外部からの刺激によって行動しようとすること
外発的動機づけとは、他人から報酬や評価を得るため、または罰を回避するために行動を起こすことを指します。外発的動機づけは報酬や罰則など手法が分かりやすく効果もすぐに現れますが、一方で効果が長続きしづらく人格の成長にはつながりにくいと考えられています。
外発的動機づけについて、こちらの記事でメリット・デメリットなどを解説していますので参考にしてみてください。
マズローの欲求5段階説との関係
動機づけは、「マズローの欲求5段階説」と関係しています。マズローの欲求5段階説では、人の欲求は以下の5段階で構成されており、低次の欲求が満たされて初めて、より高次の欲求を満たそうとすると考えられています。
- 生理的欲求:生命維持に必要な、最低限の本能的欲求で、最も下層にあります。
- 安全欲求:身体的・精神的に安全に生活したいという欲求です。
- 社会的欲求:家庭や職場といった社会集団に所属して受け入れられたいという欲求です。
- 承認欲求:所属している集団の中で高く評価されたいという欲求です。
- 自己実現欲求:自分らしく生きたいという欲求で、これまでの4つの欲求がすべて満たされた後に出現する最も高次の欲求です。
内発的動機づけは第4、5段階と関連しており、第3段階までと関連する外発的動機づけよりも高次の欲求に由来します。そのため、内発的動機づけを行ない承認欲求や自己実現欲求を満たすことで、モチベーション上昇や生産性向上などの効果が得られます。
マズローの欲求5段階説については、以下の記事も参考にしてみてください。
内発的動機づけが注目される背景
少子高齢化により、生産性向上が重要になっている
現在の日本では少子高齢化が進んでおり、労働力不足が深刻になっていることから個々人の生産性向上が重要になっています。内発的動機づけを活用することでモチベーションを長期的に維持して生産性を向上でき、少ない人数でも十分な成果を上げられます。
終身雇用が崩壊し、人材が流動的になっている
現在では終身雇用が崩壊してきており、従来のようには定年まで雇用が安定しない場合が増加しています。そのため、キャリアを形成するうえで昇給や役職といった外発的動機づけの重要度が低下し、仕事のやりがいや楽しみなどによる内発的動機づけが必要になっています。
また、人材が以前よりも流動的になっており、優秀な人材を確保することが重要です。給与や待遇だけではより良い条件の企業に転職されてしまうおそれがありますが、内発的動機づけが行なえていると自社に引き留めやすくなります。
内発的動機づけのメリット・デメリット
メリット:主体的に行動できるため、生産性向上や管理者の負担軽減につながる
内発的動機づけによって主体的に行動するようになると、集中力が増して生産性が向上したり、その結果として管理者の負担が軽減したりするといったメリットが得られます。
メリット:効果が持続しやすい
内発的動機づけがなされると好奇心ややりがいなどから自発的に行動するようになるため、その効果が持続しやすいというメリットがあります。
デメリット:個人差があるため、意図的に動機づけするのが容易ではない
興味関心の対象ややりがいを感じる事柄は人ごとに差があるので、組織内で複数人を同じように動機づけするのは容易ではありません。また、必ずしも動機づけに成功するとは限らないというデメリットもあります。
デメリット:効果が現れるまでに時間がかかる
内発的動機づけを行なうには興味関心を引き出してやりがいを持ってもらう必要があるため、外発的動機づけに比べて効果が現れるまでに時間がかかってしまいます。
内発的動機づけを行なうには
外発的動機づけを用いて内発的動機づけを高める
外発的動機づけをもとに行動しているうちに、興味ややりがいが生じて内発的動機づけが高まることがあります。これはエンハンシング効果と呼ばれ、褒めて言語的報酬を与えることでモチベーション向上につなげられます。
エンハンシング効果については、以下の記事も参考にしてみてください。
自分自身への認識を深める
内発的動機づけを行なうにあたっては、自分自身への認識を深めることが重要です。面談などを通して自己分析の機会を用意し、何に興味関心ややりがいを感じるのかを認識させます。
自律的に行動するよう促す
「自分の行動は自分で決めたい」という自己決定への欲求が満たされると、内発的動機づけにつながりやすくなります。そのため、組織の規則を緩めたり、ある程度の裁量権を与えたりして自律的な行動を促すことが有効です。
初歩的な仕事から成功体験を積み重ねる
スキルや適性に応じた仕事を与えて成功体験を積み重ねさせることで、有能感・達成感を味わわせて内発的動機づけにつなげられます。その際、適切なフィードバックを行なうことで承認欲求が満たされ、さらに高次の自己実現欲求を目指すようになります。
今さら聞けない、営業マネージャーが知っておくべきKPI・KGI
無料でダウンロードするために
以下のフォーム項目にご入力くださいませ。