エグゼクティブサマリーという言葉をご存知ですか?これは、ビジネスにおいて新規事業を投資家などに提案する際に必要な書類です。
この記事では、エグゼクティブサマリーの意味と、提案した事業が採用されやすくなる書き方を解説します。
目次
エグゼクティブサマリーとは、投資家や決裁者に向けて事業計画の要点をまとめた概要書のこと
エグゼクティブサマリーとは投資家や決裁者に対して、事業計画の内容を簡潔にまとめた1~2ページ程度の概要書のことを表します。社内で新事業の提案する際や、新会社立ち上げの際に銀行・投資家に提案する書類です。
事業計画の全体像をわかりやすく伝えるためにエグゼクティブサマリーは有効
投資家や決裁者は他の業務に追われているため時間がなく、読む価値のわからない提案書は読みません。エグゼクティブサマリーによって、短い時間でわかりやすく新規事業の価値や重要性を伝えることができます。エグゼクティブサマリーの質は事業が採用されるかどうかの決定に大きく影響するので、事業提案の際には読みやすく説得力のあるものを作ることが最も重要です。
また、最初に事業計画の全体像を説明することによって、読み手は添付するデータの意味を理解しやすくなり、細かい説明も容易に伝わるようになります。
エグゼクティブサマリーの構成要素
基本の構成要素
エグゼクティブサマリーを書く際に、以下の4つの要素を必ず書かなければなりません。
- 事業計画書の目的
まず、事業計画書の目的が明記されていないと、読み手にどのような行動をしてほしいのか伝わりません。新事業を立ち上げる上で「1千万円投資してもらいたい」「売上向上のために承認してほしい」などの目的を具体的に明記するようにしましょう。 - 事業名
投資家や決裁者は大量のビジネス文書を読むため、印象的な事業名を付けて、記憶に残るようにすることが重要です。印象的な名前をつけていれば、他の新規事業案に埋もれにくくなります。 - 事業概要
5W1Hを意識して、具体的な事業概要を伝えましょう。「何のために(Why)」「誰に(Who)」「いつまでに(When)」「何を(What)」「どうやって(How)」を簡潔にわかりやすく伝えることがポイントです。 - ビジネスモデル
フレームワークを用いてビジネスモデルを考え、説明します。基本的にはビジネスモデルキャンバスを使って考え、利益を生む構造を視覚的に伝えましょう。
ビジネスモデルキャンバスについて詳しく解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
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追加の構成要素
エグゼクティブサマリーには、基本の構成要素に加え、提案内容に応じて以下の要素から1~2つ追加しましょう。
- ニーズ
「顧客の抱えている課題」「課題に対する解決策」を重点的に説明しましょう。根拠のあるニーズを設定し、論理的に説明することがポイントです。提案段階によっては事実に基づいたニーズを立てにくい場合もあります。その場合は、論理的に仮説を立ててニーズを設定します。 - 自社の強み
「経営陣の経験」「既存事業のノウハウ」を用いて、提案する事業をなぜ自社が達成できるのか、自社が行うメリットは何か説明しましょう。 - 市場の状況
新事業や自社を取り巻く市場の状況を「PEST分析」「ファイブフォース分析」を用いて分析しましょう。
「PEST分析」「ファイブフォース分析」に関して詳しく説明した記事がありますので、あわせてご覧ください。
- マーケティング戦略
マーケティング戦略では「4P」というフレームワークを用いて、販売や仕入れの流れおよびプロモーションを定義して説明します。
4Pに関して詳しく説明した記事がありますので、あわせてご覧ください。
- アクションプラン
アクションプランは今日から事業に対して行うアクションを定義します。1年後のような長期的な目標に対して、「1ヶ月後に売上5%UP」など段階的に達成すべき目標を具体的に設定します。目標を達成するためにどのように事業を進めていくのか明確にして、事業計画が強固であることをアピールしましょう。
エグゼクティブサマリーの作成ポイント
事業段階によって伝える内容を変える
事業段階は、大きく「立上期」と「伸長期」の2つに分けることができます。それぞれの事業段階によって伝える内容を変え、伝わりやすくします。立上期では事業の将来性やインパクトを伝えます。立上期は実績や根拠が乏しい場合が多いため、事業が上手くいけば投資家にどんなメリットがあるのかしっかり説明しましょう。また、アクションプランも具体的に伝え、計画がしっかり立てられているアピールをすることも重要です。
一方、伸長期ではニーズに対するこれまでの実績を伝えます。どのような仮説検証を行い、その結果どの程度売れたのか説明しましょう。売上や利益に関してアピールするなど、これまでの実績を説明します。最初に立てた目標に対して、計画通り行動してきた結果を伝えることが重要です。
図を使い、視覚的にわかりやすくする
エグゼクティブサマリーは本来、文章主体で作成することが基本ですが、図を用いることも重要です。売上の向上やビジネスモデルを図にまとめることで視覚的にわかりやすくし、投資家や決裁者に興味を持ってもらいましょう。プレゼンで用いるスライドのように、全体的に図を多用して概要をまとめることも効果的です。
投資家や決裁者に合わせて提案内容の重点を変える
伝える相手によって、新事業に期待する内容が異なります。社長や投資家などであればビジネスメリットに関心があるため、新事業によって得られるビジネスメリットを伝えます。また、コスト削減を重視する相手であれば、新事業によって現在よりもどのようにコストを削減できるのか説明したほうが採用されやすくなります。このように、伝える相手に合わせて提案内容の重点を変えましょう。
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